将来が安泰といわれる公務員ですが、その実際は精神的に苦痛を伴うことや激務であることもあり、公務員を辞めたいという人も少なくありません。

もったいないという意見も出るでしょうが、実際に働いている人からすれば、世間のイメージとは異なっていると実感する人もいるでしょう。

しかし、公務員を辞めて、どのような職種に就けばいいのか分からないこともあります。ここでは公務員を辞めたい人の理由やおすすめの転職先その転職方法を解説していきます。

公務員を辞めたい一番の理由は人間関係

毎年1.8万人以上が病休で精神疾患が多い

不景気に強く、安定している仕事といえば多くの方が公務員と答えることでしょう。実際に狭き門ですが、せっかく組織の一員になれたとしても、実は離職者や休職者が多く存在している職種でもあります。

地方公務員安全衛生推進協会が発表した、【平成29年度 地方公務員健康状況等の現況の概要】によると、公務員の毎年1.8万人以上が病休していることがわかります。しかも、一番多い症状が精神疾患となり、平成28年度には10年前の約1.4倍、15年前の約3倍にも増加しています。精神疾患に関わるのはストレスが一番の要因ですが、公務員のストレスになるのが人間関係に起因しています。それだけ人間関係で悩んでいる人が多くいることがうかがえます。

部署になじんだ頃に異動の連続

人間関係に悩む人でも、月日が流れることで仕事や環境にも慣れ始めることはあります。しかし、公務員は部署に馴染んだという頃を見計らうかのように、部署異動が待ち構えています。せっかく職場の同僚や上司と打ち解けてきたのに、別の部署に異動となることで、一から人間関係を構築しないといけません

定期的に部署異動があると、今回もいずれは異動になるからと、人間関係を上手に付き合わなくてもいいというマイナス思考になる恐れもあります。このようなことが続くと、いつまでたっても落ち着けない状況に陥り、人間関係をうまく築けないようになっていきます。

真面目な人が辛い目に合う職場環境

公務員はルーティンワークですので、職場によっては退屈な仕事となるケースもあります。激務の場合もあれば、定時内でも暇な時間が多い職場もあるので、仕事以外の雑談に興じていることもあります。このような職場で真面目に仕事をしている人ほど、周囲から浮いた存在となりやすいものです。

いい加減な仕事をしている人たちに対して、自身が我慢するようなことが多くなると、そのような光景を見てイライラしてストレスが溜まっていることもあります。自分が真面目にやっていることが嫌になり始めてしまいます。

そのために、真面目に働いている人が辛い目に遭う職場であるという認識があり、仕事に行きたくないという思いが芽生えてしまいます。

一般人からの厳しくて冷たい視線

民間人の立場からすると、自分たちが支払っている税金で給料を得ている公務員には、かなり厳しくて冷たい視線を向けてきます。公務員という一括りの言葉で評価されるので、責任感を持って仕事に臨んでいる人には心痛となります。

役所で働いている人には一般人から見える場所で働いていることが多いので、時には罵声を浴びているのを目撃することもあり、「お役所仕事ばかりしている」というような言葉も飛んできます。真面目に取り組んでいる人には辛い現状であり、周囲との温度差が明確になっているのも人間関係の悩みといえるでしょう。

人間関係以外での退職理由と離職率の現状

世間からのマイナスイメージが辛い

公務員の不正行為がたびたびニュースで話題になると、必ず税金のムダ使いといわれることになります。世間からは「公務員は税金で飯を食っている」というイメージが全公務員に向けて発せられてしまいます。真面目に努力して仕事に取り組んでいる公務員ほど報われず、世間のバッシングに痛烈な心痛を感じてしまいます。

窓口業務になると厳しい意見を受け、嫌味や怒号を浴びることも珍しくはありません。一言「役所仕事」と吐き捨てられることもあるでしょう。仕事内容を見ているのではなく、公務員という肩書が世間からのマイナスイメージに感じられて、仕事を辞めたいと思うようになってきます。

配属先によって激務になり、転勤・異動が多い

中央省庁に勤務する場合、国会が開催中になるとかなりの激務となります。法令が変わるたびに業務法令も変わるので仕事が増えてしまい、当然ながら残業や休日出勤というキーワードはなく、政治家の都合で勤務時間が大幅に変更となるケースは多くあります。ハードワークですので、心身に支障をきたして辞めたいと思う人は少なくないでしょう。民間企業のブラックよりも働かされる恐れがあります。

8-17時の定時シフトで帰られる職種の場合は気が楽ですが、配属先が夜間や土日も関係ない職種の場合には、トラブルがあるとまったく家に帰られないことも普通に出てきます。

また、国家公務員は全国転勤となり、公正・公明さを保つために異動も多くなります。

公務員の離職率は若手の方が上

総務省が発表した平成28年度の地方公務員の退職状況等調査では、普通退職者(早期退職を除く)の年齢で、30歳未満が36.2%と3割以上を占めている状況となっています。もちろん、このデータは実際に退職した人のみとなっていますが、辞めたいと思っている人が陥りやすい、うつ病などの精神的な疾患で長期療養者も多数存在しています。

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が発表した平成27年度の地方公務員健康状況等の現況によると、長期療養者は10万人率で2,406人となり、疾病分類別では精神及び行動の障害が10万人率で1,301人と半数以上を占めています。

これは10年前に比べて約1.6倍の推移となり、人間関係の深刻さを物語っています。先に挙げた悩みは多くの人がうつ病など心身に影響をきたし、公務員の離職率の高さにつながっていることがわかります。

公務員と民間企業の違いや、転職できる年齢は?

公務員と民間企業の違いは活動目的と待遇

公務員と民間企業の違いは、活動目的にあります。公務員は社会全体への奉仕が挙げられ、対価を求めていません。一方で、民間企業の場合は、いかに利益を上げられるかにかかっています。当然ながら効率化を求められます。

また、公務員の給与は成果主義ではありませんので、仕事でどれだけ頑張っても給与に反映されません。ただし、よほど特別な事情(犯罪など)がない限りは解雇されることもなく、倒産の憂いに遭う心配もありません。さらに賞与も年2回支払われます。

民間企業になると、成果主義であり、業績を上げて利益を追求し、結果として給与や賞与に反映されていきます。会社の業績によっては賞与カットとなる恐れもありますし、全額カットされる会社も存在しています。

転職は20代がおすすめ

公務員の民間企業への転職では20代がおすすめといえます。どの企業も20代というのは、まだ他の企業色に染まっていない若手として育ていけることから、将来の戦力として採用を考えています。

もちろん、民間企業からの転職もあり得ますし、売り手市場といえるので、良質の求人になると、若手の採用枠は競争となることもあります。20代の若手社員は第二新卒枠でも採用可能となりますので、現状の公務員を辞めたいと思っているのなら、20代で転職するように心がけておきましょう。

30代以降は専門知識が必要

30代になると、民間企業で必要とされる経験や知識が備わっていないために難しくなる傾向があります。20代では問題なかった企業でも、年齢を重視されるようになっていきます。

30代というのは、世間一般的に職場の先輩として周囲を引っ張るリーダーシップも求められます。仕事を新しく覚える姿勢も大事ですが、20代の若手とは吸収力も異なりますので、企業からは相当のスキルがないと敬遠され始めてしまいます。

当然ながら35歳を超えるとかなり厳しくなり、40歳以降は管理職の経験を求められます。公務員として携わってきた専門知識を活かせるような仕事にチャレンジすることが必須といえるでしょう。

20代と30代の転職者が同じような能力を持っていたとしたら、企業側は間違いなく前者を採用するはずです。

民間企業が公務員に求めるものは?

お役所仕事とはほど遠そうなチャレンジ精神

公務員に対しては、お役所仕事という世間一般的なイメージを民間企業も持っています。デスクワーク志向が強く、柔軟性の欠如から非効率化になり、費用対効果にも突出した能力を発揮できない恐れがあります。

公務員は民間企業と比較しても、倒産のリスクがなく、基本的に解雇されることもありません。数字の達成率を追いかける民間企業の社員とは、仕事へのチャレンジ精神が桁違いになることもあり得ます。スピードが鈍く、覇気がないと思われることが多くあります。

なので、元公務員が民間企業の数字の達成率を上げるためには、今までの仕事とは一変、どんなことにも自らチャレンジしていく強いチャレンジ精神が求められます。

専門知識や基礎能力の高さ

公務員というだけでマイナス要素を持たれてしまうことはありますが、そもそも公務員になった人たちは、一定の基礎学力を備えています。基礎学力を身に付けるには入社してからでは遅く、若手であるほど学習能力の高さを評価されます。また、税や助成金など、公務員で培った専門知識は民間企業でも役立てることは可能です。

公務員はお役所仕事といわれるほど、ルールを遵守しており、マニュアル通りに行動することが多くあります。逆にいえば、慎重さが求められ厳正なマニュアルが配備されているような職場には向いていることでしょう。

また、お役所仕事とはいえ、若手であればまだ組織の風土に染まっていないため、20代での転職者は有利といえます。

公務員から民間に転職、おすすめの転職先は?

知識や専門性を評価されるコンサルティング業

国家公務員の総合職では、難しい試験を突破した各省庁のキャリア組ということもあって、その出先機関であっても、政策の立案や制定などを担う将来の幹部候補として職務に就いています。有名大学から国家公務員試験といった厳しい競争を勝ち抜いており、年齢が30歳を超えていても知識や専門性を評価されて、コンサルティング業務など有能な人材として採用される可能性は高くなります

専門職の場合には、刑務官や国税、海上、財務などのスペシャリストとして、民間企業にも優遇されるケースがあります。

有資格者は士業

税理士や弁護士、社会保険労務士、会計士などの士業で資格を有している場合、それを民間で活かすことは大きな武器となります。

大手事務所や個人事務所に勤務するのもいいですが、専門知識を活かして中小企業の経営面をサポートするコンサルティングな立場で採用されることもあります。もちろん、利益を追求しなくてはならないので、公務員時代と違い、自ら仕事を取っていく姿勢が必要となります。

国家公務員一般職の場合、男性の事務職としては民間企業で敬遠されやすくなりますが、財務・税など携わってきた仕事内容によっては、知識を評価されて事務職でも採用につながります。

国や自治体と取引がある大企業

安定した収入を求めて地方公務員から転職を考えるなら、民間企業の中では大手企業がおすすめです。マニュアルや組織が整っていて、仕事の進め方が公務員時代と大きく変わらず、ミスマッチを感じずに環境に馴染みやすいというメリットがあります。

国や自治体と取引があるような企業をみつけ、民と官の懸け橋になるような人材を探している部署を見つけると、地方公務員在職のときに身につけた知識や人脈を新しい仕事に活かすことができるのでおすすめです。

作業に没頭できる事務職や人間関係に左右されない製造業

事務職の仕事はデスクワークが得意な公務員には最適といえるでしょう。公務員での配属先にもよりますが、民間企業での総務部や人事部など、税や助成金の知識を活かして会社や社員に貢献できることも可能といえます。

人間関係に悩みがある人は、どの企業に入っても同じ心配を抱えてしまう恐れはあります。製造業などの生産現場では、作業に没頭できるうえに、QCサークルなど班ごとのチームワークがしっかりとしてコミュニケーションを取っていることが多く、人間関係の悩みを払拭することができます。

公務員から民間に転職、年収を下げない求人の選び方

民間企業へと転職する際、気になるのが年収の維持といえます。そこで、現在の年収を維持しながら、民間企業へと転職するには、キャリアと求人のマッチングが最重要となります。

転職サイトなどを活用して自力で調べることも可能ですが、全く異なる業種に挑戦すると、これまでの経験やスキルから未経験転職と見なされてしまい、年収が大幅にダウンすることもあります。そこで、自力で探すよりも、転職のプロである転職エージェントを利用したほうが、年収を下げずに転職することが可能といえます。

転職エージェントを利用してキャリアにマッチした求人を紹介してもらう

転職エージェントでは、キャリアカウンセリングを受け、自分の市場価値を見出し、キャリアにマッチした求人を紹介してもらえます。転職エージェントで紹介している求人は、エージェントが事前にその職場について調べているので、人間関係の話を聞くことも可能です。

しかも、転職エージェントが応募書類の添削や面接対策、応募先企業との日程調整、年収の交渉などを無料でサポートしてくれます。

転職エージェントには業界に精通したキャリアコンサルタントが担当してくれますので、安心して今の業務に集中しながら転職活動を行えます。特に未経験職に挑戦する場合には、転職のプロからのアドバイスをもらえる体制が整っている方が、不安を払拭することができます

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まとめ

公務員を辞めたい人の理由として、人間関係の悩みや公務員としてのマイナスイメージが辛く感じることが多く、離職率も30歳未満が全体の3割に上ります。公務員から民間企業へと転職するには、企業風土に染まっていない20代のうちが有利といえます。

基礎学力が身に付いている20代の公務員に、民間企業はチャレンジ精神や学習能力を期待していることもあり、これまでのスキルを活かせるコンサルティング業や人間関係に左右されない製造業の現場作業も向いているといえます。

しかし、転職サイトなどを利用して自力で探すと未経験転職と見なされて年収が下がることもありますので、転職のプロである転職エージェントを活用し、自分のキャリアにマッチした非公開求人を紹介してもらうようにしましょう。