現在の日本では、雇用を受けて働く勤務形態を取ったとき、正規雇用と非正規雇用の二択に分かれるのが特徴です。新型コロナウイルス感染症の影響で、非正規雇用の雇い止めや、正規労働者を維持する雇用調整の話題が頻繁に報道されています。

正規雇用とはいわゆる正社員ですが、非正規雇用はアルバイト、パートタイマー、契約社員、派遣社員など多岐にわたった雇用形態を指します。それぞれメリット・デメリットがあり、職種によっては一長一短の特徴を持っています。

正規雇用のメリットとデメリット

正規雇用の原則として「雇用期間の定めがない」というものが挙げられます。各会社が定める定年まで無期雇用が原則となっており、本人が退社を希望するか、やむを得ない事情があって退職を勧告されるなどしない限り、企業と雇用契約を結んでいるのが正規雇用、つまり正社員です。

現在は、いずれの企業でも育児や介護を理由とした時短勤務を認める法律が制定されていますが、基本フルタイム勤務なのも正社員の特徴です。その他、雇用保険・社会保険への加入が必須なのも、非正規雇用との違いと言えるでしょう。

正社員のメリットとしては、やはり「安定感」が挙げられるでしょう。時給制ではなく、月給制・年俸制を採用している企業が圧倒的に多いため、規定の範囲であれば、仕事を休んでも基本給は変動しません。昇給や昇格による給与の増加、ボーナスの支給も、正社員の場合は受けられる可能性が非常に高く、給与の面で非正規雇用に対し、圧倒的な安定感を持っています。

その他、福利厚生が整っている会社だと、給与面以外でも生活に安定をもたらすケースが多いのが正規雇用のメリットと言えるでしょう。

反面、正規雇用にもデメリットがあります。フルタイム勤務が原則であり、繁忙期によっては残業が必須となる業種や企業も珍しくありません。業務内容についても責任を伴う業務を請け負うことが多く、例えば工事現場で非正規雇用の作業者10名を正規雇用者1名が監督する場合、10名全員の業務責任を正規雇用者1名が負うことは珍しくありません。

事故などが発生した場合、正規雇用者である1名が監督責任を追及されるのです。

非正規のメリットとデメリット

非正規雇用は、正規雇用が定年までの雇用なのに対し、1年や3年、半年など、有期雇用であるのが大きな特徴です。雇用体系が多岐にわたっているのも特徴で、時給制が多く採用されるアルバイトやパートタイマー、派遣会社と契約を結び、派遣会社が指定した企業で勤務を行う派遣社員、正規雇用の社員と同じような条件でも雇用期間が定められている契約社員などがあります。

デメリットとしては、やはり「不安定感」が挙げられるでしょう。契約を更新しないと雇用が解約されてしまいますから、一社で安定して働きたいという人にはあまり向いていません。また、時給制を採用している企業も多く、企業自体が休業してしまうなどの自身に原因がない事情でも、働けなければ給与は容赦なくゼロになってしまいます。

社会保険や雇用保険に加入できないケースも多く、「働かないと収入がなくなってしまう」という不安感がストレスになってしまう非正規雇用者も少なくありません。

しかし、メリットももちろんあります。非正規のメリットとして、「1つの職場に縛られない」というのものが挙げられます。企業というのは、職種や業務内容、人間関係など、様々な要因によって異なる環境が形成されており、就職した企業の環境が自身にとってストレスフリーで勤務できるかどうかはすぐには判断できません。

半年勤務した結果、多大なストレスを与える職場だと判断できた場合でも、正社員であればフルタイムで勤務し続けるか休職、退職するしか選択肢がありません。それに対し、非正規雇用の場合、雇用契約の更新を希望しない、出勤可能日を減らしてシフト希望表を提出するなどを行えば、職場にいる時間を減らす措置を取ることができます。

非正規雇用であれば企業も採用のハードルは下がりますので、転職も正社員から正社員への転職に比べて比較的容易に行うことができますし、ストレスフルな職場から脱出しやすいのは圧倒的に非正規雇用と言えるでしょう。

また、前述の通り「出勤可能日」を調整できるのも非正規雇用の強みです。育児をしないといけない、介護をする必要がある、資格取得の勉強がしたい、趣味の時間を削りたくないなど、様々な理由から「フルタイム勤務ができない」と考える人は少なくありません。

自身の希望を基に、勤務時間を調整できる職種が非常に多いのが、非正規雇用の大きなメリットです。以上のことから、「非正規は悪くない」とあえて非正規を選ぶという人は一定数いるのです。

エンジニア職は非正規雇用に向いている?

日本で「派遣社員」という形が取られるようになったのは、1986年からです。通訳者や秘書など、専門知識を必要とする業務に対応できる人材は当時多くなく、技術者を必要とする会社に、終身雇用ではなく、有期雇用で技術者を派遣するという形で、派遣雇用がスタートしました。

技術者の派遣は高額な契約で行われており、一社に対し正社員で働き続けることで得られる給与より、この有期雇用を継続して得られる所得の方が高額だと判断した技術者が多く利用したことで定着した雇用の形です。現在は法改正などが進み、特定の専門業務以外でも派遣社員という形で有期雇用契約を結べるようになっています。

ただ、労働者を守る法律や条例が整備されたとは言え、収入面で派遣社員として大きなメリットを得られるのは、まだまだ専門知識を持った技術者と考えた方がいいでしょう。事務職員や販売員など、資格や専門知識が不要とされる一般的な労働で派遣社員として働く場合、メリットは先述の「時間の融通が効く」「職場を変えやすい」という点に絞って考えるのが妥当です。

逆に、おすすめ非正規社員は技術や専門知識、資格を持っている人、と言うことができます。派遣社員としての働き方が解禁された当時、技術者を求めている企業を派遣会社が探し、技術者に紹介するという形を取っていましたが、現在はインターネット上で技術者本人が気軽に求人を探せるようになりました。

派遣会社に契約先を紹介してもらうという形に捕らわれる必要もなく、契約社員、アルバイト、パートタイマーなど、自身に一番合った雇用形態を選択できます。もちろん正社員を希望する人もいるかと思いますが、専門知識や技術、資格を持っている人の場合、就職に困ることはないと言っても過言ではありません。

給与、業務内容、人間関係など、その企業で勤務したらどのような環境で働くことになるのかをしっかり見定めてから、正社員として勤務を希望する方が自身のためでもありますから、まずはあえて非正規を選ぶのも一つの手段でしょう。

具体的なおすすめ非正規社員

技術職、専門知識を要する職の中でも、職場や環境を定期的に変更したいという点で、特に非正規社員に向いている職があります。その中の一つが「開発技術職」です。パソコンやスマートフォンが広く普及した今、ソフトウェアやアプリケーションも大きく市場を広げることとなりました。

ソフトやアプリは「開発」「運営(保守)」に大きく業務が分かれ、企業として長期的に人材を必要としている業務は、言わずもがな「運営」です。「開発担当」というのは、企業が新しくプロジェクトを発足しない限り、業務が途切れやすい業種なのです。

このような技術職の場合、一つの企業に長くいるのではなく、「企業が必要とするタイミングで契約し、有期雇用で働く」といった非正規雇用形態がまさにおすすめです。

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