「ときどき、激しく動いたわけでもないのに心臓がどきどきすることがある。毎日残業三昧だけど、これって過労死する可能性はある?」、「仕事が忙しくて体調も悪い。でも、働いていれば忙しいのは当然だと思うし、過労なのか甘えなのかの基準が自分で分からない。」

ここでは、自分や家族に過労死の可能性を感じている人のために、過労死の前兆となる症状についてまとめました。

過労になったときにするべき対処法も教えます。残業が多い人や勤務時間が長い人は、過労死する前にぜひ読んでください。

行きつく先は過労死!?過労死の前兆となる症状まとめ

胸部の異常は心疾患の可能性

過労によって、心疾患の症状が出ることがあります。

・動悸を感じることがあるが、しばらく経つと収まる
・胸が圧迫されたように感じる
・左腕がだるい
・不安や緊張があるときに、胸が焼けるような、身の置き所がないような感じがする
・胃の辺りに違和感を感じ、違和感が上に上がっていく
・喉が詰まるような、締め付けられるような感じと一緒に、奥歯がうずく感じがする

こうした症状が出たときは、狭心症や心筋梗塞といった、重篤な病気の可能性があります。過労死の前兆の中では、きわめて危険度が高い症状です。

我慢せず、速やかに循環器科を受診してください。

過労が脳の疾患を引き起こすことも

過労死の危険度が高い前兆には、脳の疾患の症状もあります。

・片側だけ手足が痺れる
・急に力が入らなくなり、手に持っていた物を落とす
・ろれつが回らない
・めまいがする・まっすぐに歩けない
・会話の内容が理解できなくなった
・細かい手作業がやりにくくなった
・片目がときどきぼやけたり、物が二重に見える

こうした症状が見られるときは、脳梗塞やくも膜下出血の前触れである可能性があります。最悪の場合は突然意識を失い、そのまま死亡してしまうこともあります。

少しでも「おかしいかな?」と思ったら、速やかに脳神経外科を受診してください。

うつ病などの精神疾患も多い

過労死の前兆で、精神疾患の症状が出る人もいます。心臓疾患などに比べると緊急性は比較的低めですが、突然自殺を図るケースもあるため、油断は禁物です。

・体がだるい・疲れやすくなった
・何をしても、楽しいという感情が湧かない
・極端に真面目で几帳面な性格・融通を利かせることが苦手
・やる気が出ない
・起きる時間になっても、布団から出られない・布団から出るのが怖い
・疲れているのに眠れない

精神疾患の症状は個人差が大きく、人によっては上記以外の症状が出ることもあり、胸が苦しくなるなど体の症状として表れることもあります。

また、過労が引き金となり得る精神疾患の中には、初期段階での自殺のリスクが高い疾患も存在します。

前兆があっても判断力が狂って気づけない場合も

過労死の前兆となる症状があっても、疲労や会社からの洗脳によって判断力が狂ってしまっているために、過労であることを自覚できないこともあります。

特に、うつ病などの精神疾患を発症している場合は、病気によっても判断力が失われます

また、症状は自覚していても、真面目で責任感が強過ぎる人の場合は、他の人に迷惑がかかることが心配なので仕事を優先してしまいます。

裁量労働制や歴史的背景も過労死の原因の一端

日本では戦後、新たに制定された日本国憲法に基づき、1日8時間労働を原則とする労働基準法が定められました。しかし、この原則はほとんど定着しませんでした

日本は戦前から労働者に長時間労働を強いる風潮が強かったことに加え、戦後は復興や高度経済成長があったので、労働時間が長くてもある程度、労働者が納得していたからです。

その上、昭和22年には36協定によって、8時間以上の労働が合法化されました。そもそもサービス残業なら、いくら残業させても記録上は8時間以内に収められます。

その結果が、月に100時間を超える長時間残業の蔓延です。

近年もバブル崩壊後の生き残りが賭かっているため、長時間労働の風潮は続いています。

過労死寸前・・・倒れる前にできることってある?

まずはストレスの解消法から挑戦

緊急性が高い症状が出ているのでなければ、まずはストレスの解消を図ってみるとよいでしょう。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、アロマを焚くなど、心身をリラックスさせる方法がおすすめです。ストレッチなどの軽めの運動や、マッサージもよい方法です。

ヤケ酒・やけ食いに走る人もいますが、ただでさえ過労の状態のときに、体に負担がかかる方法は避けましょう

医師の診察を受ける

緊急性が高い可能性のある症状が出ている場合や、ストレス解消法を試しても症状が改善しない場合は、医師の診察を受けましょう。

何科に行けばよいか分からないときは、かかりつけの内科医などに相談するとよいです。

我慢強い人の場合は、「このくらいならまだ大丈夫」と思っているうちに手遅れになってしまうこともあります。「おかしいかな?」と感じたら無理をし過ぎず、早めに受診することが大切です。

弁護士や労基署、ホットラインなどに相談

他の会社と比べて、身体的・精神的負担が重過ぎるようなら、一人で抱え込まず、誰かに相談することも大切です。

過労死の危険を感じるほどであれば、家族や友達に聞いてもらうよりも、専門家に相談した方がよいでしょう。

過労について相談できるところには、弁護士や労働基準監督署、労働相談ホットラインなどがあります。

また、不安感や無気力など、心の不調がある場合は、こころの健康相談統一ダイヤルでも話を聞いてもらえます。精神科を受診すべきかどうかといった相談にも乗ってもらえるでしょう。

労災認定されれば傷病補償年金がもらえる

業務による過労が原因で病気になったことが認められた場合は、労災認定されます。

さらに、療養開始から1年半を過ぎても病気が治らない場合は、病気の等級に応じて「傷病補償年金」が受け取れる可能性があります。

「傷病補償年金」とは、労災による病気が継続している間は受け取れる年金です。

「傷病補償年金」の受給資格が認められた場合は、申請すると「傷病特別年金」と「傷病特別支給金」も給付されます。

「傷病特別年金」も、「傷病補償年金」の受給資格を持っている間は受け取れます。「傷病特別支給金」は、一時金として受け取れる給付金です。

労災の可能性があるなら、弁護士などに相談してみましょう。

死にたくない!過労死とは縁遠い職に転職するならおすすめは?

心身共に健康でいたいなら残業が少ない職種に転職

医療機器メーカー

過労死防止のために転職するなら、残業が少ない業種・職種を選ぶとよいです。医療機器メーカーは残業が少なく、休みも多いので過労の心配はないでしょう。

顧客の都合によっては時間外労働が発生することもありますが、基本的には病院が診療している時間にしか仕事がないので、1日の実働時間は8時間程度が一般的です。

営業も直行直帰できることが多いです。

製造業

工場などの製造業は、電気代などの経費を節約するため、残業できない会社が多いです。長時間稼働している工場の場合も、日勤と夜勤の交代制になっているため、残業は少ないです。

CAE解析

CAE解析とは、製品を作る前にコンピュータで製品強度などをシミュレーションする職種です。耳慣れない職種ですが、もの作りの上流工程の仕事なので、残業が少ないです。

材料力学の知識は必要になりますが、資格がなくても転職でき、未経験OKの求人もあります。

社内SE

IT系はブラックな職種の代表格ですが、社内SEは残業が少なく、休みもしっかり取れることが多いです。

突発的なシステム障害などによる、残業や休日出勤が生じることもありますが、基本的にはきちんと体を休められる仕事です。

事務職

未経験からの転職は難しいですが、残業が少ないです。1日のやることが決まっていて、急な仕事が発生することが少ないからです。

繁忙期などは多少、残業が増えることもありますが、基本的には定時で帰れることが多いです。

残業が少ない求人の見分け方

裁量労働制は避ける

残業が少ない会社に転職したいなら、裁量労働制の求人は避けましょう

裁量労働制は、あらかじめ一定量の残業時間を見込んで、残業代が定額で給料に上乗せされます。

しかし、こうした給与体系の場合は、あらかじめ見込まれた残業時間を大幅にオーバーすることがほとんどで、長時間残業が当たり前です。

なお、「みなし残業」「固定残業代」などの表現が使われることもありますが、それらも裁量労働制と同じ扱いだと考えてよいです。

年収の開きが少ない

求人票に書かれている年収の開きが大きい会社は、「残業が多いので年収が高い人」がいる可能性があります。

また、その他の勤務条件や待遇についても、必要な情報が網羅されているか確認しましょう。

求職者に必要な情報がきちんと明記されている求人は、優良企業の可能性が高く、残業も少ない可能性が高いです。

離職率が低い

気になる求人を見つけたら、その会社の離職率も調べてみましょう。ネットで検索しても分からない場合は、「就職四季報」で調べると載っています。

離職率が低い会社は、働きやすく過労の心配も少ない会社といえます。新しい会社でなければ、平均勤続年数も調べてみるとよいです。

労働組合が強い

労働組合の力が強い会社は、組合の目があるので無理な長時間残業はさせません。万一、不当な労働環境になってしまった場合も、組合に守ってもらえます。

各会社の労働組合については、社員に聞ければ一番よいですが、難しい場合は「会社名 労働組合」で検索してみましょう。

労働組合のホームページや、口コミ情報を得られることがあります。

まとめ

過労死の前兆となる症状の中でも、心疾患が疑われる症状や、脳の疾患が疑われる症状が出ている場合は、今日にでも命を落とす可能性があるので、速やかに対処すべきです。

また、精神疾患が疑われる症状は比較的緊急性は低いですが、早い段階で自殺してしまうこともあるので油断は禁物です。

さらに、過労死の前兆があっても判断力が狂って気づけない場合もあるため、長時間残業や休日出勤が続いているときは、無理をし過ぎないよう充分に注意しましょう。

ストレスの解消を図る、医師の診察を受けるなど、症状が深刻になる前に手を打ってください。

弁護士や労基署、ホットラインなどにも相談できるので、1人で抱え込まないようにしてくださいね。