営業などの対人業務に疲れたから…残業が少ないから…などの理由で、いま、事務職に転職を希望する人は増えています。

でもこのような正直な理由を答えても、事務職採用への道は閉ざされることが多いのです。その背景には、「どうしても事務職になりたい!」という志望理由をつくる難しさが関係しています。

この記事を読めば、応募書類や面接で指摘されない志望動機の作り方や、未経験・職種別の志望動機の書き方がわかります。

採用されやすい事務職の志望動機を作成できるようになって、希望通りの事務職への転職を成功させましょう。

目次

転職失敗!事務職に落ちる原因は履歴書や職務経歴書の『志望動機』にある?

事務職の志望動機は似たり寄ったりなものになりがち

「熱意」「やる気」で強引に押し切る志望動機では不採用になる

事務職でもよくある志望動機のひとつが「御社で働きたいという熱意・やる気だけは誰にも負けません」というような、勢いで押し切るタイプのものです。

本当によく見かける志望動機のため、採用担当者もうんざりしており、「熱意」という文字を見ただけで、不採用BOXに履歴書を投げられることもあります。

職歴に一貫性がなく、事務職に転職する必要性が見当たらないと不採用になる

さまざまな経験を積んだ…といえば聞こえはいいですが、職歴が多く、しかもその経験してきた仕事内容に一貫性がないと、「なぜ今回事務職を希望するのか?」という肝心の志望動機にまったく説得力がなくなってしまいます

最初はシステムエンジニア、次は営業、その次はサービス業…というような職歴を見ると、「芯のない人」とも印象づけられてしまい、「またすぐに辞めるかも」と思われ、採用につながらないのです。

「御社の製品を愛用していて…」自分の興味を押し付ける志望動機は不採用になる

よくあるけれど、落ちやすい志望動機として、「企業の製品を(個人的に)愛用している」というものがあります。

あなたが応募先の企業の製品を愛用していることは、あなたの興味を主張し、イチ消費者であることを強調しているだけで、事務職として応募していることとまったく無関係です。

「採用されたらどんな風に働きたいか」がマトはずれな志望動機は不採用になる

志望動機では、「入社してからこんな仕事をして企業に貢献します」という具体的な内容まで触れると採用につながりやすいのですが、これに反してぼんやりとしたビジョンしか描けない場合、「事務」という職業の役割を捉えておらず、結局何ができる人物なのかが分からないと思われてしまいます。

「明るく前向きに」「業務を円滑に進められるよう」などの抽象的な表現では、事務職としての働きぶりが見えてこないのです。

事務へ転職、履歴書や面接でつっこまれない志望動機の作り方

事務の種類によって必要なスキルを把握しておこう

事務職として採用される志望動機をつくるなら、大きく「事務」と捉えるのではなく、これまでのスキルが事務の種類によってどう活かせるのかを関連付けることが大切です。

志望する事務職の種類を把握する

事務職という職種の中にも、さらに一般事務、営業事務、不動産事務、商社事務というように、業務内容が細分化されています。

自分がどの種類の事務職を志望するのかをハッキリと意識して、その事務職で求められる仕事力は何なのかを自問自答してみましょう。

たとえば「営業事務」では、営業職の社員が営業を行いやすくするよう、説明資料、プレゼン資料、見積もりなどの作成がメインの仕事となります。
一方で「一般事務」の場合は上記のような書類作成の他に、電話応対や来客対応も業務内容に含まれています。

この違いを意識して、次に紹介するスキルとの関連付けを行えば、採用されやすい志望動機を作成できます。

志望する事務職の仕事内容とこれまでの経験やスキルを関連付ける

志望する事務職を限定したら、あなたの経験やスキルと、その事務職の仕事内容とを関連付けましょう。

たとえば前述した「営業事務」なら「営業の社員のニーズをいち早く理解し、そのニーズに応えられるよう、素早い書類作成のスキルを活かしたい」と書けば、企業側も業務内容を把握していて、なおかつそれに適したスキルもあるということで採用に傾きます。

また、「一般事務」なら、「書類作成はもちろんのこと、前職の病院受付の際に評判がよかった患者対応の接遇スキルを、電話応対や来客対応に活かしたい」と書くことができます。

総務などの管理系はコミュニケーション能力をアピール

総務事務は、文書(社内報からビジネス文書まで)作成や、備品管理など、社員が快適に仕事ができるよう、総合的にバックアップをしていく仕事です。

そのため、社内だけではなく、社外との交流もあり、事務室で一日中ルーティンワークを行う一般事務とは対照的に、社内・社外の多くの人と円滑なコミュニケーションを図るスキルが求められます。

・苦手な人がいない
・前職では営業で年間200名を超える顧客と長期的に関わってきた
・大学で心理学を学んできたので、コミュニケーション方法を熟知しており、スキルもある

このように、総務事務の場合、コミュニケーションスキルをアピールできるような文章を志望動機に盛り込むことが大切です。

経理や法務などは業務経験をアピール

経理や法務事務の場合、実際的な作業が多くを占めるため、コミュニケーションをとる機会は事務職の中でも少ないものです。

そのため、経理や法務事務ではコミュニケーションスキルではなく、実際の業務経験をアピールして、即戦力になれることを志望動機で強調したほうが採用されやすいのです。

経理の場合、帳簿付け、伝票整理の経験があるのは当たり前で、決算経験のある人は重宝されます。

法務事務の場合、契約取引の業務経験は当たり前ですが、近年重視されているコンプライアンス法務の経験がある場合、積極的に採用されます。

なぜ「志望先で事務職に就きたいのか」という部分を充実させよう

志望する企業で事務職として働きたい場合、企業研究はかなり入念に行いましょう。
企業で行われている業務内容や企業の特徴を把握しないと、「その企業の」事務職として働きたいという明確な理由がつけられないからです。

ここで企業研究をおろそかにして、事務職にばかり焦点をあてた志望動機をつくってしまうと、「ウチじゃなくて、他の企業(ライバル企業)の事務職でもいいよね?」と詰められてしまいます

そうならないよう、志望先の業務や特徴に関連させて、なぜそこで事務職として働いていきたいのかを説明することが大切です。

「未経験・職種経験あり」パターン別、事務転職の志望動機の書き方とは?

よい志望動機の例・女性に人気の不動産事務や商社事務の場合

志望動機をつくるポイントはわかったけど、文章をつくるのが苦手で、自分でイチから志望動機をつくるのが難しい…。

そんな人のために、以下に女性に人気の事務職を2つ挙げました。
この2つの事務職で実際に使用できる志望動機の例を参考にしてみましょう。

不動産事務

私は前職で保険会社の事務をしておりました。前職では書類作成や管理はもちろんのこと、営業に同行して営業補助の仕事も兼任しておりました。

貴社の不動産事務では、物件に関するご相談に来られたお客様の対応、ならびに営業担当者が求める契約書類作成、資料のファイリングなど、作業内容は多岐にわたるかと思います。

前職で培った営業と事務の双方のスキルを活かし、来店されるお客様には丁寧な対応とわかりやすい説明を、また営業担当者の方の右腕となって前職の書類作成の経験を活かしたいと考えております。

商社事務(営業事務)

私は前職でスポーツ関連会社の営業を経験してきました。
この経験から、このタイミングで見積もりがほしい、この日までに契約書類がほしいなど、営業に必要な書類とタイミングを把握しております。

また、前職では自分自身でも説明資料やPR資料を作成し、よりクライアント様に見やすい、かつ洗練されたものを作り上げてきた経験があります。

貴社では衣料品から化粧品に至るまで、幅広い製品を取り扱っていらっしゃいますが、これらの営業担当の方の営業活動が少しでもスムーズにいくよう、私の営業職としての経験、そして書類作成のスキルを活かしていきたいと考えております。

事務職に転職する際、アピールポイントになるおススメ資格

簿記

経理・会計・法務・人事事務など、幅広い事務職で求められるのが簿記の資格です。
貸借対照表や損益計算書の読み方がわかるだけでも、事務職としての活躍の幅が広がります。

簿記にはその運営団体によって難易度がかわるという特殊な特徴があり、難易度の低い高級資格よりも、難易度の高い簿記の低級資格のほうが評価されることもあるため、取得する際には注意しましょう。

具体的には、日商簿記>日経簿記>全経簿記の順に難易度がかわります。
そのため、日商簿記の1級と、全経簿記の1級では、まったく企業での扱いも異なるため、どうせ取得するなら日商もしくは日経簿記が望ましいです。

秘書検定

秘書検定は、敬語の使い方、電話応対の仕方、上座・下座の理解など、ビジネス場面で相応な立ち居振る舞いができるかどうかを見極めるものです。

1級ともなると実技試験があり、実際の秘書の業務をこなしてみせる必要があります。
1級までいかなくとも、2級程度を取得していれば、「ビジネスマナーをイチから教えなくても大丈夫な人」「安心して対外的な事務仕事も任せられる人」という理由で、事務職にも採用されやすくなります。

マイクロソフトオフィススペシャリスト

MOSの通称でも馴染みのあるマイクロソフトオフィススペシャリストは、マイクロソフトが認定するPCソフト使用技術を証明する資格です。

マイクロソフトオフィススペシャリストには、Word・Excel・Powerpoint・Accessの4種類の科目があって、WordとExcelのみ初級であるスペシャリストと上級であるエキスパートに分かれています。

事務職ではWordとExcelは使用頻度が非常に高いですから、これを持っていれば「PC系の事務仕事は安心して任せられるな」と判断される基準となり、事務職として採用されやすくなります。

TOEIC

外資系企業での事務職ともなれば、貿易事務がメインとなります。
その際、海外の業務担当者と電話やメールでのやりとりをする機会も頻繁にあるため、英語力をアピールするためにはTOEICでの高スコア獲得は非常に採用に有利です。

外資系企業なら、800点以上のスコアがあれば問題なく勤務できます。
同じTOEICの中でも、TOEIC Speaking & Writing Tests(英会話と英語文章能力)を受験して高スコアを残しておくと、メールや電話という実際業務との関連づけがしやすいのでおすすめです。

宅地建物取引士

不動産事務として活躍したい場合、「宅建」の通称で有名な宅地建物取引士の取得をおすすめします。

不動産事務では、営業にかわって物件案内を行うこともあり、またwebへの物件登録などの仕事内容に含まれます。

そのため、不動産にかかわる知識を証明する資格として宅地建物取引士の資格があると非常に有利です。

未経験・異業種からの事務転職。どうしても志望動機が書けないときは?

電話対応やパソコンスキルなど事務に生かせる経験を探そう

事務職はさまざまな業種・職種からの転職先として倍率が高く、人気企業や大手企業は未経験からではアピールするポイントを絞り込まなければ、採用されるのは難しいのが現実です。

比較的関連付けやすいのは、営業職や販売職からの転職です。
営業や販売では、商品紹介などの対人業務が多く、その一方でPCでの書類作成の経験もある人が多いため、未経験でも事務職で求められる電話対応やPCスキルとの関連づけが行いやすいのです。

事務への転職、志望動機作成をプロに頼るのも手

前職での仕事内容が事務職との関連がまったくなく、これまでの経験が結びつきそうにもない…という場合は、第三者の意見を聞くと打開策が見つかる可能性もあります。

第三者の候補として、転職支援サービスを無料で提供している転職エージェントに相談し、企業リサーチや自己分析から、自分が事務として活躍していける企業を紹介してもらうと、自分の力だけでは難しかった事務職への転職が成功しやすくなります。

転職エージェントに相談する中で、これまでのスキルを転職先の志望動機と結びつけるサポートをしてもらえるからです。

リクルートエージェント

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、転職成功率NO.1の転職エージェントです。
エージェントの中でも最大手ですから、保有している求人数が格段に違い、さらにネットなどで閲覧できる公開求人よりも非公開求人を多く(20万件以上)抱えています。

非公開求人の中には事務職の優良求人もあるのはもちろんのこと、履歴書や職務経歴書などの応募書類の添削から、心配な面接練習までの対策を講じてくれるので、初めての転職活動でもコンサルタントと相談しながら安心してすすめることができます。

拠点も全国主要都市に19箇所あり全国を網羅しており、転職サポートの流れもスピーディーなので、今すぐ転職したい人も頼りになります。土日の相談が可能なのも利用しやすいです。

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Spring転職エージェント

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世界人材シェアNo.1のアデコが運営する、外資系転職エージェントです。外資系を中心に、日系企業の求人も扱っています。求人の80%が非公開求人で、良質な求人が多いです。事務職の求人も豊富です。

面談希望者を断らないので、スキルや経験に自信がない人や、未経験転職にもおすすめです。受け身だとサポートが手薄になりますが、求職者が求めればしっかりサポートしてくれます。

国内での知名度は低いですが、全国に拠点があり、地方の人も利用できます。
※20代〜40代で、一都三県、東海地方、関西地方の転職者限定です。

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まとめ

事務職への転職を成功させるためには、「事務職になりたい」という曖昧な志望理由ではなく、以下のことがきっちりと守られていることが大切です。

・どの企業でもよいわけではなく、応募先の事務職になりたい理由を入れる
・自分の経験・スキルと事務職の業務内容を関連付ける
・簿記、秘書検定、TOEICなど、希望する事務職に必要な資格を取得する
・未経験の場合、前職から事務職に活かせそうな、電話応対やPCスキルなどを強調する

それでもひとりでは志望動機が書けない…という場合、転職エージェントに一緒に考えてもらうという方法もあります。
転職のプロに添削してもらえば、事務職を志望する理由も完璧に作成でき、採用される確率がアップします。