会社が年俸制や裁量労働制で、「残業しても残業代が出ない」、「年俸制や裁量労働制だと残業代が出ないのが普通?」と思っていませんか?
ここでは、年俸制や裁量労働制の仕組みと特徴残業代の計算方法残業代が出るところに転職する方法をご紹介します。年俸制や裁量労働制で、残業時間や残業代で悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

よく聞くけどイマイチ分からない、年棒制や裁量労働制ってどんな仕組み?

年俸制給与が事前に決定される賃金制度裁量労働制勤務時間が事前に決定される労働時間制度です。

年俸制はあらかじめ一年間の給与を決めておく制度

年俸制とは、一年間であらかじめ決められた報酬のことです。支払い方法としては一括払いではなく、12で割って月々の給料として支払うか、14で割って月給プラス年2回の賞与として支払います。

年俸制は給与管理コストがかからず、給与が業績に左右されない

年俸制のメリットとしては、企業側従業員の能力に見合った給与に設定でき、それが個人の能力を生かせることにつながります。また、一年通して給与が一定なので給与管理コストがかかりません従業員側は、業績が悪くても一年間は給与に反映されず、減額にはなりません。

年俸制は業績が良くても賞与が上がらない

年俸制のデメリットとしては、従業員側は業績が良くても賞与は増えず業績が加味されるのは翌年の年俸になります。業績が悪ければ翌年の年俸は減額となってしまいます。

裁量労働制はあらかじめ労働時間を決めておく制度

裁量労働制とは、「事前に決めておいた時間を勤務した」とみなして給与をはらう仕組みのことで、「みなし労働時間制」のひとつです。給料は実際に働いた時間分ではなく、決められた勤務時間に対する金額が支払われます。例えば1日5時間働いでも10時間働いても給与は変わりません。

裁量労働制は業績と労働時間の結びつけができない職種に採用

裁量労働制が導入できる業務は決まっており、仕事の業績と勤務時間を結びつけることが難しい業務に取り入れることができます。専門業務型と企画業務型があり、業務を成し遂げるための時間や手段を従業員の裁量にゆだねる必要がある職種に採用されます。

専門業務型: 研究開発、情報システム、取材、デザイン考案、番組プロデューサー、コピーライター、ゲームソフト創作、証券アナリスト、公認会計士、弁護士、建築士、不動産鑑定士、弁理士、税理士、中小企業診断士など
企画業務型:事業運営に関する企画、立案、調査、分析など

裁量労働制は残業代の計算が不要、自分のスケジュールを立てられる

裁量労働制のメリットとしては、企業側残業代の計算をしなくてよいという点が挙げられます。従業員側の労働時間が長くても残業代を支払う必要がなく、給与管理コストがかかりません。従業員側勤務時間が短くても一定の給料が受け取れます。また、出社と退社時間など、時間配分やスケジュールを自分で決めることができます。能力が高ければ短時間で給与が稼げることになります。

裁量労働制は労働時間が長くても給与は増えない

裁量労働制のデメリットとしては、労働時間が長くても給与は増えないことです。契約時に決められたみなし労働時間で業務を終わらせることができなくても、給与は変わりません

「裁量労働制」と「みなし残業制」は異なる制度

「みなし残業」という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれませんが、みなし労働時間制の一つである裁量労働制とは違うものだということを述べておきます。
みなし残業制とは、決められた残業時間が事前に月給に含まれている制度残業代が固定されています。みなし残業時間より実際の残業時間が多ければ時間外手当が支給され、少なくても給料は減りません。また、出社時間などを自分で決めることはできません

年俸制や裁量労働制だと残業代は出ないの?残業代って計算できるの?

結論!年俸制は法定労働時間を超えれば残業代が出る!!

年俸制でも法定労働時間(1日8時間)以上働いた場合、契約時に決定された年俸とは別に残業代が支払われます
年俸制の場合、みなし残業制を組み込んでいる場合があります。その場合は固定残業代込みでの給与になりますが、みなし残業時間以上に働いた場合は残業代が出ます

裁量労働制では深夜、休日、8時間超のみなし労働時間の設定なら残業代が出る!

裁量労働制の場合は、自分でスケジュールを決めて業務を行うので、残業代が出ないというイメージがありますが深夜(22時~5時)に勤務した場合、法定休日に勤務した場合、みなし労働時間を1日8時間より多く設定している場合は残業代が出ます。

管理監督者や個人事業主は残業代が出ない

労働基準法により、経営者の立場に位置しており出社・退社時間が自由で一般社員より大幅に給料をもらっている人には、割増賃金を支払わなくてよいとされています。
また、プロのスポーツ選手のように、委託契約を結んで個人事業主となり、成果によって給与がもらえる場合も残業代は出ません

残業代を請求するなら残業したことが分かるように準備

未払いの残業代を請求したい場合は証拠が必要です。タイムカードも必要のない年俸制や裁量労働制の場合、残業したかどうかを証明するには会社の退出記録など、勤務時間が分かるものを自分で準備しておく必要があります。給与明細も保管しておきましょう。

1週間に40時間を超えた分は残業になる

法定労働時間は1日原則8時間、1週間で40時間です。シフト制や1日の労働時間が短い場合、土日に出勤して1週間で40時間としているところもあります。
それを超えて働いた分は時間外労働時間になり、時間外手当が発生します。

残業代の計算方法【残業代 = 残業時間 × 時給 × 割増率】

以下の手順で残業代が計算できます。

①月平均所定労働時間の割り出し
まず、残業しない場合の1ヵ月分の平均労働時間を割り出します。
【月平均所定労働時間 = (365日(閏年は366日) − 1年間の休日) × 1日の所定労働時間数÷12か月】
②時給の割り出し
1時間分の賃金、いわゆる時給を計算します。
【時給 = 手当を除いた月給(年俸の場合は12で割る) ÷ 月平均所定労働時間】
③割増率
残業代は割増された額でもらえます。平日や休日、深夜で残業代が変わってきます。
時間外の残業:1.25倍
法定休日の残業:1.35倍
深夜時間帯の残業:1.5倍
④残業代の計算
【残業代 = 残業時間 × 時給 × 割増率】

計算例

以下の人が20時間の時間外残業をした場合の残業代は以下のように計算できます。
・1日の所定労働時間:8時間
・年間245日勤務(休日120日)
・年俸:400万円

①月平均所定労働時間
(365日−120日)×8時間÷12か月= 約163時間
②時給
400万円 ÷ 12 ÷ 163時間 = 約2,045円
③割増率
時間外残業の場合は 1.25倍
④残業代
20時間 × 約2,045円 × 1.25 = 51,125円

残業代が出るところに転職したい!年俸制や裁量労働制は避けたほうが無難?

年俸制や裁量労働制でも残業代が出る求人を見極める

年俸制や裁量労働制でも残業代が出ない場合は、ブラック企業の可能性があります。求人情報からブラック企業を見極める方法としては
求人に抽象的な説明が多くないか
給与の内訳、基本給や残業代が明確か
などをチェックします。
また、口コミサイトで実際の社内の雰囲気などを調べておくとよいでしょう。

まとめ

年俸制と裁量労働制は異なる制度で、以下の特徴があります。
年俸制:一年の給与が事前に決定されており、給与が業績に左右されない
裁量労働制:労働時間が事前に決定されており、業績と勤務時間を結びつけづらい業務に取り入れられている。

年俸制と裁量労働制でも、以下の場合に当てはまれば残業代は支給されます。
年俸制は:法定労働時間以上勤務した場合
裁量労働制:深夜、休日、8時間超のみなし労働時間の設定の場合
残業代は、月平均所定労働時間と時給を割り出し残業時間 × 時給 × 割増率で計算できます。
年俸制や裁量労働制で残業代が出ない場合は、ブラック企業を見極めて残業代がしっかり支給されるところへ転職するという方法も視野にいれるとよいでしょう。