2019年末から始まったコロナウイルスの感染は、その後も拡大を続けて世界中で誰も予想していなかった規模まで犠牲が広がりました。そんな中、2019年から2020年にかけて転職を考えていた人々にとっては、考えていたプランが全て白紙に戻ってしまったのではないかと危惧されます。

2020年3月に政府によって出された緊急事態宣言によって売上に多大なダメージを負った企業も多く、中にはほぼ売上がゼロになって人員削減を余儀なくされています。そうした何百人、何千人規模でのリストラや早期退職募集などの人件費削減報道が相次ぐと、今のこの時期に転職するべきか?という不安に駆られても仕方ありません。

ただそうした報道に踊らされて手をこまねいているだけの状況は避けましょう。なぜなら実際に動いてみなければ、自分が転職を希望している業界や企業も同じように人員削減の流れの中にあって、新規や中途の採用を控えているかどうかは分からないからです。

コロナ禍で変わった転職市場

まずは自分が転職をしたい業界や企業について、そして今現在でも転職をしたい理由を明確にしなければなりません。例えば契約社員という立場であったのが契約を解除されて職自体を失い、緊急として求職活動をしている人と、自分のキャリアアップのために転職を考えており、企業側からも積極的に受け入れてもらえる土壌のある人とは、同じ方法論で転職を語ることはできません。

コロナ禍で転職市場は大きく変わり、正直なところ、これまでの売り手市場は完全に買い手市場へとシフトしました。この変化は、特筆すべきスキルも経験がなく、買い手市場のど真ん中に放り出される形になった人にとっては、次の就職や転職を行うには最悪のタイミングになってしまったかもしれません。

しかし、一方ではこの未曽有の危機とも言うべき困難な状況で、企業は苦境を乗り切れる真に強力なリーダーを求めています。ですので、マネージャやシニアコンサルタントといった上級管理職の求人は、男女問わずむしろ高まっているのが現状です。

またステイホームの影響で売り上げが前年比で90%以上も落ち込んでしまった飲食業や旅行・宿泊などの観光業といった業種がある反面、リモートワークに備えてパソコンの購入需要であったり、ネットワークやセキュリティ関連の企業、拡大したネット通販におけるECサイトや物流業界では、これまで以上の事業規模拡大のチャンスが訪れています。

そこで転職を希望する人たちがすべきことは、まずは自分自身の現状、転職を希望する業界の現状、その結果として採用に積極的なのか控えているのかといった関連する転職情報の収集です。

コロナ禍の2021年は、転職をするタイミングか

的確な転職情報を得られれば、今自分が転職活動を開始するタイミングなのか、次の機会を待ちつつ現状のキャリアをさらに積み増しすべきなのかを判断できるでしょう。実際の転職市場の総論はと言えば、2020年に新型コロナが確認されてすぐに有効求人倍率は下がり始めました。半年経つと完全に買い手市場であると断言できるまでに状況は悪化しました。

しかし、前項でも触れた通り、全体ばかりを見てもそれぞれの企業ごとの事情は異なります。また多くの企業が、コロナ禍で縮小してしまった現在の経済環境は長期化するだろうという見通しを持っています。それはつまり、自体が落ち着くまで静観しようとすることにあまり大きな意味がないということです。

逆に、悪化した事態を改善していくために、すぐにでも動かなければいけないという決意にまでつながります。現に、マネージャ以上の上級職や管理職の転職需要が衰えるどころか活性化していることからも分かります。そこで、自分が希望している業界がコロナ禍の中で新たな需要を創出している場合や、キャリアアップとして管理職としての転職を考えている人にとっては、絶好のタイミングと言えるかもしれません。

やみくもに動くことは賢明ではありませんが、しっかりと転職情報を収集・分析した上で出した結論なのであれば、チャンスを掴む結果になるかもしれませんね。忘れてはならないのが、転職市場は完全にクローズしているわけではなく、買い手市場である側面もありつつ、需要のシフトにともなって採用を活性化している企業も、2019年から引き続き計画的に採用活動を継続している企業もあるということです。

今はコロナ禍で転職のタイミングではないと弱気になる気持ちは分かりますが、それならいつならば状況が改善されてベストのタイミングがやってきますか?という質問に答えられる人はいません。おそらく質問された人も、半年後も数年後も状況は大きく変わらなさそうと答えるのではと推測されます。

つまり、今転職するべきか?というタイミングだけにこだわるよりも、転職する条件と準備が整っているかどうかで転職の時期を判断するべきという事ですね。

コロナ禍の今でも転職に成功している人はいるのか

条件はかなり限定されるものの、現状でも転職に成功している人たちは少なくありません。転職市場が買い手市場である限りは、業種も職種も全くの未経験者が採用される機会は多くありません。しかし、即戦力として期待されて入社する可能性はありますので、これまで培ってきた経験を元にスキルアップとしての転職を目指しましょう。

転職に成功している人は、企業の現在のニーズにスキルと経験がマッチしている人材であるという条件に加えて、転職活動に必要な手続きを確実に行っている人でもあります。そうした人は、1人で志望動機をまとめ、職務経歴書や履歴書、カバーレターなどの書類を不備なく準備することに、客観性がなくなるなどの限界を感じ、適切なアドバイスが必要であることを理解しています。

そこで利用するのが転職エージェントです。彼らは転職をサポートするプロフェッショナルとして、そうした書類のフォーマットのそれぞれにベストなものを用意し、応募者との面談を通して本人の強みや弱み、キャリアのハイライトやエピソードを掘り起こし、本番の面接日までに準備を完璧にする手伝いをしてくれます。また、まだ現職の業務に忙しい本人の代わりに年棒交渉などを転職候補企業に対して代行してくれます。

転職に成功する人は、こうした最適なフォーマットで必要書類を準備することや、自分では気づかない客観的な情報を言語化すること、面接を成功させる準備を行うことなど、サポートと時間をお金で買うクレバーさを持ち合わせています。そしてもう一つ成功する転職者が活用するであろう方法に、リファラル採用があります。

その企業の社員が友人などを会社に紹介・推薦する方法ですね。会社に紹介するにあたり、その社員としては既に友人のスキルや経験に推薦する理由をはっきりと見出しており、社風にも合うと判断しています。人事部としては、そこで既に1枚採用に必要なフィルターを通していることになります。

推薦した自分の友人が社風に合わずにパフォーマンスもさっぱりだと、紹介した社員の評価も下がってしまいますので、本当に推薦できる友人しかできません。この制度はこれからますます活用されていくと思われます。最後に、成功する転職希望者になるためには、面接がオンラインになった場合の対策も万全にすることです。

どういう自室の環境で行うか、パソコンを目の高さに合わせるためにはどうセッティングすればよいか、ツールの使い方は大丈夫かなどといったことは基本的な確認事項ですね。

転職エージェントの役割

新型コロナウイルスの感染拡大により、特に飲食業界や宿泊・観光業界、アパレル業界はステイホーム実施の影響により最もダメージを受けましたので、業界全体を考慮すると新卒と中途・転職者の採用需要が減少していることは認めざるをえません。

しかし、その反面でコロナ禍だからこその新しい常識「ニューノーマル」という言葉も既に誕生しており、見方によっては転職市場も、新たに需要が喚起されたメガトレンドに向かって舵をきっています。

転職を成功させたい職歴が3年以上の若い社会人も3年未満の第二新卒も、また就業経験のない既卒者でも1/3以上1/2未満の割合で考えていた転職を思いとどまっているという調査結果があります。ただ、「現在の年収をアップさせたい」と「もっとやりがいのある仕事に転職したい」という2大理由とともに転職への意欲も衰えてはおりません。

そこで鍵を握るのが、プロフェッショナルとして転職希望者と採用企業の橋渡しを行う転職エージェントです。応募者へは、転職への希望とその時点での経験やスキルの洗い出しから準備までをコンサルティングし、採用企業側へは希望に沿った人材を紹介できるよう条件面のヒアリングを行うことで、転職に関する情報は転職エージェントに蓄積されます。

そうした第三者へ依頼せずに全て自力で試みる人は、応募する側と採用する側の両者にとって市場に関する情報がどれだけ重要であるかを理解していないからでしょう。

コロナ禍の転職で年収アップさせるための基礎知識

転職エージェントには、応募者が希望する年収の幅について、また採用する側が提示する年収の幅についてもそれぞれの業種や職種別に蓄積されているはずなので、両者をマッチングさせる際に既にお互いのギャップは最小であるはずです。

こうした希望する年収にかなった転職であるかどうかも、個人では判断しかねますが、情報を持つ転職エージェントには可能なのです。そして、最も重要なことは、転職にて年収アップをはかりたい場合に、どのように年収が決められるかという大枠を知るということです。

その時点のタイミングで成長している最中の業種、または既に歴史的に好待遇を維持している業界と、今回のコロナ禍のように業績が下降している業種では、まずベースとなる年収が異なります。つまり、業績が上向いているか安定している業界への転職は年収アップにつながりやすく、逆のケースでは年収がむしろ下がってしまう可能性もあります。

これに加えて具体的な部長や役員などの管理職、営業やエンジニアといった職種別の評価ベースがあります。企業側で人材が不足していると思われる職種への応募者はより高い年収を期待できるでしょうし、人が余っているような需要の少ない職種であれば年収アップは望みにくいということです。

実際にコロナ禍においては、困難な時を乗り切るために強いリーダーが必要とされており、転職市場において管理職以上の役職の需要は高まっています。つまり、前職でリーダーとしての実績や功績を認められやすい状況にあれば、その人物は今がまさに転職のメガトレンドにのっている状態です。

また、自宅でのリモートワークが市民権を得たこともコロナ禍において新しく生まれた現象です。この動きを加速するために、パソコンはグレードアップされ、インターネット回線は強化され、新しい通信アプリが開発され、企業のセキュリティを強化する流れが生まれました。

こうした新しい需要に対応するIT系のエンジニアや通信会社、セキュリティ会社では事業拡大のための営業職の需要も増しています。まさにこのメガトレンドにのれるような職種への転職を行うべき時期だとも言えるでしょう。そして年収というのは、この業種と職種の掛け合わせで決められます。

つまり、いくら役員待遇での転職を果たしたとしても、その業種の現在の業績が下降しているのであれば、急成長中の企業や安定して高い実績を挙げている企業の部長職よりも年収は低い事が予想されます。もちろん逆も真なりで、業績好調な業種への転職であれば同じポジション・職種であっても、年収アップが可能になるということです。

コロナ禍の転職であるからこそ、こうした業種と職種についてアップデートされた正確な情報を持っている転職エージェントのアドバイスを受ける必要があります。

年収アップの道しるべを描く

年収の大枠を決める業種と職種の掛け算を行いながら、年収アップを実現させるには業種を変えるべきなのか、職種を変えるべきなのか、その両方が必要なのかを決めなければなりません。そして、自分が希望する業種への転職を実現するには、どういうキャリアパスが描けるのかという予想図が必要です。

一足飛びに希望する業種と職種に転職できないのであれば、どれ位の期間をかけて、どういうステップで近づいていけばよいかについて、転職エージェントのコンサルティングを受けましょう。

例えば全くの異業種に転職したい場合に、求められる必須の経験があるなら、まずその経験を積むにはどうすればよいかということです。観光業で営業職に就いているAさんが、やはりwithコロナの時代にはシステム系の仕事が求められるだろうと、IT業界への転職を希望したとします。

IT分野での経験を積むために、今の会社でシステム部門への配属願いを出すことも一つの手です。社内のシステム部門では無理だと判断すれば、観光業から少しIT系に近づけるような、例えば旅行や宿泊の斡旋サイトの開発やメンテナンスなどを行う企業に転職の可能性を探してみるとか、一歩ずつ転職成功への階段を登る事だって不可能ではありません。

そして、その場合もやはり転職エージェントのコンサルタントが役立つことでしょう。一つのポイントとしては、転職エージェントの担当者とは長期的な付き合いをしておくことが重要となります。

コンサルティングを通して、現状の業種と職種に加えて最終的な転職希望のアウトラインを詳しく伝えておけば、それを覚えていた担当者がAさんのキャリアパスに生かせる募集かもしれないと、最終希望業種への足掛かりとなる転職案件を紹介してくれるかもしれません。

1回での転職が無理なら、2回で行いましょうという提案です。もし転職の実現までに少し時間をかけても大丈夫な状態であれば、こうしたアプローチも可能です。

さらには、転職の仕方の傾向によっては、転職エージェントの規模も考慮すべき時があります。Aさんのようにできるだけ幅広く情報を収集し、段階を踏んだ転職ができればいいと考えるタイプには、大量の情報をストックしているデータベースを持つ大手の転職エージェントがいいでしょう。

どうしても規模が大きいと担当者ピンからキリまで、ベテランから新人までと当たり外れが出てしまいますので、このデータベースの活用を主目的として利用できればいいでしょう。そして、もし自分の行きたい業種がはっきりしており、それ以外は考えていないというのであれば、その業種に特化した中小規模の転職エージェントを探す手もあります。

大手ほどのデータは有していない代わりに、その業種での深い情報ネットワークがあり、採用企業との強いコネクションを持っている可能性があります。その業種に経験の深いスペシャリストのコンサルタントの下、有利に転職活動を勧められるでしょう。まずは広く探して、希望が固まったら深く進めることは、転職成功への有効なアプローチになるはずです。