建築士になるには?必要なスキルと未経験で転職する方法を解説

「働き始めてから建築士の仕事に興味を持った」、「他の仕事に就いたが、やっぱり昔から気になっていた建築に携わりたい」など、社会人になってから建築士を目指し始める人もいます。

ここでは、未経験から建築士に転職したい人のために、建築士に転職できる年齢必要な資格とスキル建築士への転職でブラック企業を見分ける方法失敗しない転職先の探し方を紹介します。建築士の仕事内容や年収と待遇、将来性なども紹介するので、参考にしてください。

建築士の仕事内容・年収・将来性は?

建築士の仕事は建築物の設計と工事の監理

建築法に基づいて住宅やビルなどの建築物を設計し、作成した設計図をもとに工事を指揮・監督するのが建築士の仕事です。

顧客のイメージや予算などの希望・条件をヒアリングし、建築法と予算という制約の中で、可能な限り顧客のイメージを具現化していきます。

建設会社や住宅メーカー、設計事務所などに所属する建築士が多いですが、自分で開業している建築士もいます。

建築士は資格によって3種類ある

建築士の資格は3種類あり、そのいずれも国家資格です。資格の種類によって設計できる建物が違ってきます。

一級建築士:設計できる建物の大きさに制限がなく、高層ビルから民家まで、ほぼすべての建築物の設計・工事監理ができます。

二級建築士:設計・工事監理が認められるのは、延べ面積が30㎡~300㎡までの鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造の建築物です。具体的には一般的な戸建て住宅などが可能です。

木造建築士:木造2階までで、延べ面積が300㎡以下の建物の設計・工事監理ができます。

木造建築士は請け負える仕事がかなり限定されるため、実務では二級建築士以上の資格が求められることが多いです。

建築士の平均年収は638万円

建築士は専門性が高い仕事で、建築士になるための資格試験も難易度が高いため、年収が高い傾向があります。ですが、勤務先の企業規模によっても年収が大きく違ってきます

大手不動産会社は年収500~800万円、中小の設計事務所で年収400~600万円程度が一般的です。大手不動産会社は住宅手当などの福利厚生も、中小の設計事務所より充実しているので、可処分所得の金額差はもっと大きくなります。

ちなみに、自分で開業している建築士の年収はピンきりで、知名度が高い建築士になると、年収数千万円といった人もいます。

建築士は忙しさに波がある

建築士の勤務時間は1日8時間程度に設定されていることが多いですが、実際はそのときどきで、連日徹夜で仕事に追われる時期もあれば、連休を取りやすい時期もあり、忙しさにかなり波があります。

建築士が特に忙しいのは、設計の納期前です。作業に遅れが出ていれば忙しくなるのはもちろん、納期直前になってから顧客の要望が変わって、やり直しが生じることもあります。

一方、納品が済み、次の依頼が来るまでの間は、比較的休みを取りやすいです。

建築士は規模の小さい仕事で経験を積みながら、徐々に大きな仕事に移行していく

建築士として実務に入ると、最初の何年かは「住宅のバスルームのみ」などの小さく地味な仕事をこなすことで、下積みします。

その後はオフィスビルの設計など、規模の大きな仕事に移行しながら、主任や課長に昇格していくのが一般的です。

そこからさらに、独立開業する人も多いです。開業する場合は、最初は元の勤務先の仕事を手伝いながら、徐々に独り立ちするのが一般的です。

住宅設計の機会は減っていくが食いっぱぐれのない仕事

国内の世帯数の減少や、非正規雇用による低所得層の増加といった要因があるため、一生賃貸で済ませる人が増えています。したがって、建築士が国内で住宅を設計する機会は、今後減少していくことが予想されます。

一方、バリアフリーやエコハウスといった新しい価値を求める人が増えている上に、設計の仕事ができるのは限られた有資格者のみです。

時代のニーズやターゲットにすべき客層を見極める必要はありますが、基本的には食いっぱぐれのない職業の一つといえます。

ですが、一級建築士でも食えない建築士が増えているのも事実です。食いっぱぐれないためには、注文住宅の受注がメインの企業などは避けた方がよいでしょう。

未経験から建築士に転職する方法

建築士の資格なしでも転職できる

設計事務所などは、資格なし・未経験OKの求人もあるので、建築士の資格がなくても転職できます。

そもそも、建築士の募集で有資格者を求める求人の場合は、実務経験が豊富な人を求めていることが多いため、資格だけ持っていてもあまり意味がありません

さらに、建築士として「使える資格」は二級建築士以上ですが、建築学科卒でない人の場合は、一定期間の実務経験を積まないと二級建築士を受験できません

したがって、ほとんどの人は資格なしで転職し、働きながら建築士の資格を取得することになります。

建築士への転職では「普通の感覚」や社会人経験が重視される

建築士に求められる重要なスキルの一つは、「普通の人の感覚」です。絵や音楽などの他のアートとは違い、建築物は普通の人が実用目的で使用するものなので、優れた美的感覚よりも、使う人が快適に利用できることが優先されるからです。

したがって、未経験でも「一般のユーザー」としての感覚が優れている人は歓迎されます。

また、新卒よりも社会人の方が選考に有利な面もあります。社会人経験がある人の方が社会のルールなどを理解しているので安心感があるからです。

さらに、生活人としての経験も積んでいるので、新卒よりも顧客の要望を理解しやすい強みもあります。

デジタル・アナログ両方のスキルが必要

建築設計の図面作成は、CADソフトで行うことがほとんどです。最低でも、2次元CADは扱えるようにしておく必要があります。Windowsで動作するフリーソフトを使用する事務所が多いので、独学でも習得可能です。

顧客へのプレゼンでは、よりイメージが伝わりやすい3次元CADも使用されるため、3次元CADも使えれば転職に有利です。予算管理や工程管理などで、Excelも使用します。

一方、手書きで図面を書けるアナログ対応のスキルも意外に重要です。顧客との打ち合わせ中に即興でパースや図面を書くには、手書きの方が早いからです。

また、図面に文章での説明を書き加えなければならないこともあるので、最低限の文章作成能力も必要です。

異業種から建築士に転職するなら20代まで

現職が建築業界以外の場合は、建築士に転職できるのは20代までです。20代までの若年層はやる気や建築士への仕事に対する興味を買ってもらえるので、ポテンシャル採用もあり得ます。

一方、30代以降は新しいことを素直に吸収しにくくなり、建築士という職種自体も若いときから経験を積んでいる人が多いため、建築業界の経験がないと建築士への転職は難しくなります。

未経験から建築士に転職、失敗しない転職先の選び方

ニセ建築士事務所は絶対に選んではいけない

建築士になりたい人の転職先の一つに建築士事務所があります。建築士事務所は建築法によって、建築士事務所登録を行うことが義務付けられています。

しかし実際には、建築士事務所登録をしていないニセ建築士事務所も存在するため、注意が必要です。ニセ建築士事務所で働いても、一級建築士や関連資格受験に必要な実務期間にカウントされないからです。

以下の項目に当てはまる場合は、ニセ建築士事務所の可能性があります。

・ホームページの会社概要などに、建築士事務所の登録番号が書かれていない
・管理建築士に関する記載がない
・事務所に建築士事務所登録票が掲示されていない

ニセ建築士事務所を確実に見分けるには公的機関で調べる

ニセ建築事務所を確実に見分けるには、公的機関で調べれば分かります。志望先が正規の建築士事務所かどうかを調べたい場合は、「建築士事務所協会」で建築士事務所の登記簿を見せてもらいます。一般の人でも閲覧できますし、電話で問い合わせても教えてくれます。

また、在籍する一級建築士がニセ建築士でないかも、「日本建築士会連合会」か「建築士会」で、一級建築士名簿を見せてもらうことができます。登録があるかなどの基本情報程度であれば、電話でも教えてもらえます。

少人数の個人事務所は所長との相性も重要

個人で開業している設計事務所など、少人数で運営している企業に転職する場合は、社内でのコミュニケーションが密接になるため、特に所長と合わないと働き続けるのが難しくなります

過去にパワハラなどの問題行為がなかったかなど、所長に人柄をリサーチしておくことが大切です。

いつも募集している求人や勤務条件などの詳細が不明瞭な求人は避ける

建築業界はブラック企業も多いので、求人をしっかり見極めることが大切です。

いつも同じ内容で求人を出している企業や、抽象的な前向きワードばかり羅列されていて、勤務条件などの応募者に必要な、具体的な情報が網羅されていない求人は避けた方がよいです。

こうした求人は、待遇が悪いなどで離職率が高いブラック企業の可能性があるからです。

なお、求人票に昇給についての記載がない場合、長く働いても給料が上がらない可能性があります。

平均年収が高く福利厚生が充実していればホワイト企業の可能性が高い

平均年収が高く、福利厚生が充実している企業なら、従業員を大切にするホワイト企業の可能性が高いです。

福利厚生は最低でも、法定福利厚生である以下の4つが整っている企業を選びましょう。

・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金

なお、年間休日日数は120日を目安に選ぶと、休みがきちんと取れます。

育児休暇や介護休暇など、自分に必要になりそうな休暇の取得実績も確認しておきましょう。

採用ステップが長く育成制度が整っている

採用ステップが長い企業は人間性も重視して人材を選んでいるため、職場の雰囲気がよく、人間関係が良好なことが多いです。

また、ホワイト企業は1人の人材を長く使いたいと考えているので、スキルアップ研修や自己研鑚のための休暇など、育成に必要な制度が整っている特徴があります。

特に未経験から建築士に転職したい人にとっては、働きながら専門的な仕事を覚えられるという意味でも、「人材を育成する気がある企業か」は大事なポイントです。

未経験OKで建築士求人を見つけるには

ハローワークや求人サイトは、求人票以上の情報が得られないため、未経験OKの優良求人を見つけるのが難しいです。「本当に未経験者を採用する気があるホワイト企業」を見つけるには、実際の採用基準や企業の実態も調べる必要があります。

未経験で建築士に転職したい人の求人探しには、転職エージェントで非公開求人を紹介してもらう方法がおすすめです。本当に未経験OKの優良求人を紹介してもらえて、職場の雰囲気など求人票では分からない情報も教えてもらえるので、ミスマッチを防ぎやすいからです。

選考通過のためのサポートも受けられるので、不利になりがちな未経験転職を有利に進められるメリットもあります。

リクルートエージェント

リクルートエージェント

最大手の転職エージェントです。大手企業を中心に中小・ベンチャーまで、全国の求人が豊富です。良質な求人が多く、非公開求人も約12万件あります。

サポート力が高く、応募書類の添削や面接対策などの個別のサポートの他に、転職に役立つ無料セミナーも充実しています。対応がスピーディーで、転職が決まるまでも早いです。

リクルートのブランド力を活かした交渉力もあるので、不利になりやすい未経験転職にも頼りになります。

リクルートエージェント公式サイト

未経験者におすすめの職種

未経験から建築・建設業界に転職する場合は、営業やバックオフィス、工事担当の土木技術の求人が未経験者を多く受け入れており、転職しやすくなっています。建築・建設業界では長時間労働や休日が少ないなど、労働環境が厳しい職場が多いので、転職エージェントに企業の雰囲気を確認してから慎重に応募するようにしましょう。

応募前に必要とされる資格とスキルチェックを

建築・建設業界への就職は、職種によって資格が必須になることがあります。また資格を持っているだけでなく、実務経験を求められることがあるので、応募前に求められるスキルや資格のチェックをしておきましょう

建築・建設業界への転職で評価の高いスキルとして、CADの技術があります。未経験者が建築・建設業設計技術のCADが使えると多少評価されますが、実務経験がないと厳しいと判断されることもあります。

資格や経験がなくてもチャンスあり

資格やスキル実務経験を持っていることが採用に有利に働くことは間違いありませんが、業界未経験者が資格や実務経験無しで応募できる仕事もあります。災害復興や大規模インフラの老朽化に伴う改修作業が増えていることにより、業界全体では慢性的な人手不足が続いています。未経験可の求人も増えてきているので、他業種からの転職者にもおおいにチャンスがあります。

現在資格がない場合は、仕事をしながらキャリアップのために資格の取得に前向きな姿勢を強くアピールしましょう。

まとめ

未経験から建築士への転職は、建築士の資格がなくても可能です。また、芸術性よりも利用者と同じ普通の感覚が求められるため、他の仕事からの転職も意外に歓迎されます。

ですが、住宅設計のニーズは減少が見込まれるので、ビルなど住宅以外の建物の建築も手掛ける企業を選んだ方が将来性があります。なお、未経験であってもパソコンやCADが扱えることは求められるので、応募前に習得しておきましょう。

建築業界はブラック企業も多いため、良質な求人を見極めることも大切です。

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