法律事務所を辞め、なんとかなる!なんとかしよう!と思って自己資金が全くない状態で弁護士協同組合や銀行から融資を受け弁護士事務所を開いたものの、全く仕事が入らず開店休業状態で辛い思いをしていませんか?
このまま事務所を存続することは難しく、借金の返済や当面の生活費もめどが立っていない場合、とにかく早く転職先を決めたいところですよね。

そこでこの記事では、弁護士独立失敗からの転職先について紹介します。
事務所独立に失敗しても、人生に失敗したわけではりません。
弁護士の資格や経験を活かした転職先を知って、新しい人生をリスタートさせましょう。

弁護士が独立失敗する5つの理由

開業に費用をかけすぎた

せっかく開業するのだから…と、集客を見込んで地価の高い一等地に事務所を構えたり、狭いのがイヤだからと無駄に広い土地を借りたり、内装にこだわってソファに何十万もかけたり…というように、初期投資にお金をかけすぎるのは独立失敗の一因となります。

見込み通りに依頼が入るとは限らないのに、土地や内装、備品などに高額な投資をして、回収できない場合は、事務所をたたむしかありません。

また、開業の際に事務所の見栄えや自分の作業の効率化を考えすぎるあまりに、最初から事務員を必要以上に採用してしまうことで、毎月多額の人件費も飛んでしまいます。

開業前に、現実に見合わない土地、内装、備品、人件費を使っている人ほど、独立失敗のリスクが高まるのです。

マーケティング能力もコネもなく、仕事が思いのほか入らなかった

独立して事務所として成功するためには、何はともあれ売り上げが命です。
売り上げを伸ばすためには、上記で紹介した初期投資を抑えた上で、できるだけ多くの仕事を受け、できるだけ多くの顧客を囲い込むことが大切です。

きっと事務所を立ち上げるまでは、そんなことはわかっているつもりでも、開業すればなんとかなる!と思っていた人ほど、マーケティングを詰めて行わずコネクションづくりも甘かったはずです。

どんな人をターゲットにしているのかもあやふやな場合、マーケティングを行うことも難しく、元からコネもないのでは安定した仕事は入ってきません
売り上げの土台も作ることが難しいため、遭えなく独立失敗につながってしまうのです。

採算性の合わない仕事ばかりだった

負け戦、勝ち戦という表現なら、負け戦でもある程度の和解金が入るような採算性の合う仕事もあれば、着手金を除けば1円も入らないような仕事もあるため、このような仕事ばかり依頼が舞い込んでも、売り上げにはつながらずに独立失敗…ということになってしまいます。

こうなってくると焦りが生じ、負けるしかないと分かっているような案件でも引き受けることになり、成功報酬も絶対にもらえないような案件でも受けて、採算性も合わない、さらに評判も落ちて次の依頼も来ない…というネガティブスパイラルに巻き込まれてしまう弁護士もいます。

しかも最近では大手法律事務所などで「着手金無料」のキャンペーンなども行われており、始めたばかりの個人事務所だけど最初が肝心だから…と着手金を無料にして対抗し、結果的に時間だけとられてほとんどタダ働きだった…ということもあります。

事務所の立地が悪かった

事務所の立地がいいと、そんなに腕の立たない弁護士でも、通行人の目に留まるために依頼が舞い込むものです。
ところが、開業に投資できる元手が少なく、路地裏や住宅地の一角など目立たないところに設立すると、まずそこに事務所があるということが近隣住民にも伝わらないため、近所からの依頼も得られません。

SNS等をうまく駆使して、事務所設立をPRしても、電車で行けないバスすら通ってないなど、公共の交通機関で行きにくい場所の場合は、遠方からの依頼も得られなくなってしまいます

事務所の立地はよすぎても借金が膨らんで独立失敗のリスクが高まりますが、立地が悪すぎても知名度がいつまでたってもあがらなかったり、依頼主が通えないというデメリットがあるのです。

そもそも法曹界自体の需要と供給のバランスが悪い

司法制度改革にともない、弁護士人口が飛躍的に増えてきた昨今、独立を志す弁護士の数も増えています。
ところが、増えた分の弁護士に来る依頼主も比例して増えるわけではなく、決まった数の依頼主を大勢の弁護士で取りあっているという現状は、弁護士の共倒れの原因のひとつでもあります。

2013年に3万3千人を越えた弁護士の増加に対して、訴訟件数は2004年に574万件あったのに2012年には361万件に減少
これだけを見ても減り続ける訴訟件数を増え続ける弁護士で取りあうことは容易に想像できます。
需要と供給のバランスが悪すぎるのに、新しく事務所を構えて生き残るには、かなりの人脈、マーケティング力、発信力、実績が必要になるのです。

参考:http://www.sankei.com/west/news/140811/wst1408110065-n1.html

事務所を畳むなら決断は早いほうが吉

前述したように、弁護士自体が供給過多のため、経験云々よりも年齢が上になるほど再就職が厳しくなってしまいます。
無駄に年齢を重ねて再就職のチャンスを逃さないためには、事務所を畳む時期の見極めが重要です。
投資などにも言えることですが、「あと少しがんばれば実るのでは…」「来月で回復するのでは…」と、引き際のタイミングを伸ばすことで、実際のリスクは高まるばかりという可能性があります。

なんとか事務所を続けたい一心で、細々と採算の合わない案件をいくつかこなすよりも、早い段階で転職を考えたほうが無難です。
経営が難しい、そしてその理由がハッキリしているのに、自分ではどうしようもない場合は、事務所をできるだけ早く畳んで、次の一歩を踏み出しましょう。

弁護士で独立失敗した人におすすめの再就職先

弁護士事務所を畳んで廃業した人は、どこに再就職しているのでしょうか。
おすすめの再就職先について紹介します。

手堅く企業内弁護士を目指す

せっかく弁護士経験があるのですから、はやり弁護士として活躍したい!という場合は、事務所経営ではなく、企業内弁護士になるという選択肢があります。
日本弁護士連合会によると、2005年には採用企業数が68社・123人の企業内弁護士という数に対して、10年後の2015年には採用企業数742社・1442人の企業内弁護士が活躍しています。
何事にもコンプライアンスが求められる日本企業において、企業内弁護士の需要は増加傾向にあるのです。

特に女性弁護士の場合、自分で事務所を構えると、結婚・出産といったライフイベントがあった場合、誰かに事務所を任せる期間が発生したり、事務所を休業する必要があります。
また、事務所を構えるとライバル事務所との競争からどうしても残業時間が常識の範囲外のレベルまで達するため、プライベートを犠牲にする必要があります。

でも企業内弁護士なら、企業の産休・育休制度を利用して、しっかりとライフイベントに向き合えるというメリットがあります。

弁護士経験を活かしてビジネスマンに

弁護士事務所を畳んで、もう弁護士とは一切関係のない仕事に就きたい!と思う人もいるでしょう。
でも、年収を下げずに転職するなら、自分が弁護士時代に担当していた分野に通じる職種に就くことをおすすめします。

企業法務

弁護士の経験を活かして、企業の中の法務部に勤務するという方法があります。
企業法務では、契約や取引に関する法務コンプライアンス法務紛争に対応するための法務などの業務内容があり、他部署と連絡・連携をとりながら仕事を進めていきます。
企業に勤務しながら法律の知識・経験を活かせるため、年収も維持、企業の業績によっては年収アップも実現できます。

ベンチャー企業のリーガル部門

日本国内ではまだ展開の浅いベンチャー企業のリーガル部門担当としても活躍できます。
実際に大手弁護士事務所を辞めて、某フリマアプリのリーガル部門担当として転職成功した弁護士も実在しており、アプリ開発・運営における法律関係に携わっていたら、企業が成長して仕事の裁量も大きくなったという人もいます。

ベンチャー企業のファイナンス部門

ベンチャー企業なら、上記で紹介したような弁護士の転職先として考えられやすいリーガル部門を越えて、資金調達の仕事を任されることもあります。
そのような場合、弁護士としてのキャリアを活かしながら、仕事の幅を拡大できるため、その後のキャリアアップにもつながっていきます。

独立失敗からさらに転がり落ちていかないための転職方法

前職とのつながりのない職場を探す

独立で失敗したことが転職においてマイナスイメージになることは必ず避けたいものです。
そのため、以前の職場と横のつながりがある職場を避ける必要性があります。
でも現実的にはそのような条件がそろう転職先を自分だけで探したり、情報を仕入れるのには限界があり、廃業後からの職探しでは間に合わないため、効率的に転職活動を行う必要があるのです。

転職エージェントを利用すれば転職活動も有利に

転職活動を効率的に行うためには、転職活動をサポートしてくれる転職エージェントを利用するという方法もあります。
大手の法律事務所とも取引がある総合型転職エージェントであれば、転職先の内部情報を効率よく収集できるというメリットがあります。
独立で失敗したという経歴についても、書類や面談の対策段階でキャリアコンサルタントからサポートを受けることができるのでおすすめです。
エージェントからの応募書類の添削を受ければ、弁護士から異業種に転職する際に書く内容に困ってしまう志望動機なども、転職先に提出する前によりよいものに仕上がります。

リクルートエージェント

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まとめ

事務所を構えたものの、結局独立失敗に終わった場合、事務所を畳むタイミングを誤ると借金がかさんだり、再就職の難易度が上がってしまいます。
そのため、事務所を畳むタイミングは早い段階で決断し、完全に畳み切る前に転職活動を開始するのがおすすめです。

転職先としては、以下のような候補が挙げられます。
・ワークライフバランスのとりやすい企業内弁護士
・成長途中だから入社しやすいベンチャー企業のリーガル部門担当
・ベンチャー企業でリーガル担当を経てからのファイナンス担当で仕事の幅を拡大

内部事情に詳しい転職エージェントを活用することで、前職との関係の有無がわかるとともに、非公開求人から優良求人を紹介してもらえます。